高分子フコイダンと
低分子フコイダン
当研究所に寄せられる質問の中で多いのがこの内容です。
フコイダンとは、フコースを主要構成糖とする高分子多糖類であり、硫酸化フコースが多く含まれているのが特徴です。
多糖の定義が「糖が10個以上脱水結合して生じた糖類」とあることより、主構成糖のフコースなどの糖類が10個以上つながったものが「フコイダン」です。
このような中で、「摂取しても吸収されなければ意味がない」として、本来、分子量が数万以上あるフコイダンを分子量500以下の超低分子にしたというものがあります。
しかしながら、高分子多糖類であるフコイダンを分子量1000〜500以下にしてしまうと、糖としては2~3つ結合したものであることから多糖類には当たりません。したがって、分子量が1000〜500以下であるのであれば、フコイダンとは呼べなくなります。
そこで実際に検証してみました。
同じフコイダンを酸加水分解により、分子量1,000以下にし、高分子のままのフコイダンと、低分子化したフコイダンの免疫活性化作用を検証しています。
IMMUNOLOGY2022 Annual Meeting The American Association of Immunologists
モズクフコイダンもメカブフコイダンでも、低分子化したフコイダンには免疫活性化作用はほぼみられませんでした。
フコイダンの抗腫瘍活性の詳細なメカニズムについてはまだわかっていない部分もありますが、最も主要な説としては、腸に存在するリンパ装置(パイエル板表面のM細胞)に、消化されないままの高分子が取り込まれることで免疫系が活性化し、腫瘍細胞の増殖を抑制していくことが考えられています。つまり、高分子であることが重要であるといえます。
フコイダンの生理活性は、抗腫瘍効果、高血糖抑制効果、LDLコレステロールの減少、血管新生抑制等があげられますが、これらは全てフコイダン(高分子多糖類)の試験結果であり、現在もさまざまな研究機関で研究が進められています。